「侵襲的治療は行わない」「自然の成り行きで看取る」という決断を父はした。
「お前はどう思う?」と聞いてくれたけど,同意した。母も同意するだろう。
施設の相談員と話すと,だいたい2,3週間後らしい。
実家に戻ってきて,葬儀のことや墓のことを話した。葬儀は花いっぱいの家族葬にしようと決まった。
「墓はつくらない。仏壇もかんたんなやつでいい。
なるべく早く忘れてやりたいんだよ」
と父。墓や立派な仏壇をつくると,後の人に負担を残すことになるのが嫌なんだそうだ。そして,いつまでも引きずることなく,自由に生きていくのが本当の供養なんじゃないかと話してくれた。
約20年,母の介護をしてきた父の言葉としては意外だったが,そうかもしれない。
介護を優先してきたが,やりたいことややるべきことが父にあったのかもしれない。
身勝手かもしれないが,墓参りよりも,生き生きと生きている自分や子や孫の姿を母に見せたいと父は言う。
家や資産の継承より,リア充の大切さを教えてもらった。